• 泊まって楽しむ昭和資料館 ゲストハウスるーのす

    2月20日、東大寺では修二会(しゅにえ)に臨む練行衆(れんぎょうしゅう)の皆さん11人が翌月1日から始まる本行を前にその準備にあたる「別火入り(べっかいり)」が行われました。

    戒壇院の門に掲げられた「別火坊」の看板


    日没後の夕闇が深まるなか、東大寺の一角にある戒壇院(かいだんいん)の庫裡(くり)に設けられた「別火坊(べっかぼう)」へと次々に入っていかれます。

    暗いので写真がブレて… もっと練習します。


    「別火」とは文字どおり火を分けること。俗世で使っていた火を捨て、自身や持ち物を清めた後はここで新たにおこされた火のみを使って飲食や暖をまかなう精進潔斎の合宿生活に入ります。


    この「別火」は修二会の本行に先立つ前行の期間で、20日から25日(閏年は26日)までの前半を「試別火(ころべっか)」、後半26日から最終日の28日(閏年は27日~29日)を「惣別火(そうべっか)」と呼び、この間、練行衆の皆さんはこの別火坊に泊まり込んで本行に向けたさまざまな準備を行うのです。

    部屋の奥には身の回りの物を収める「牛玉櫃(ごおうびつ)」。
    側面には目印としてそれぞれの紋が張られています。


    具体的には仏前を飾る造花作りや燈明の燈心作り、行中に使用する道具類の整備など連日たくさんの作業がありますが、その中でもいちばん重要なのは声明(しょうみょう)と呼ばれるお経の稽古です。声明は種類が多いうえに独特の節回しが難しいのですがすべて暗記で唱えなければならず声量も必要なため、お腹の底から声が出るように毎夜練習に励まれます。


    また、「試別火」の期間中は制約が多いながらも多少の外出などが可能ですが、「惣別火」に入ると外出はおろか室内でも各自一枚ずつ持つ「てしま」と呼ばれる小さなござの上以外では自由に座ることもできなくなります。また私語は禁止、飲食も厳しく制限されるなどとても厳しい生活です。
    私たちはこうしたようすを直接目にすることはできませんが、14日間に及ぶ本行を前に一週間以上の前行のため静かに宿所へ入られる練行衆の皆さんからは強い覚悟を感じ、自然と背筋が伸びる感覚になりました。

    皆さんが宿所に入られ、静かになった別火坊の玄関

    このあと、「別火」を終えられた皆さんは2月の最終日に二月堂の下にある「参篭宿所(さんろうしゅくしょ)」へ移動され、あらためて厳しい本行に臨まれます。

    けっこうたくさんの方が見に来られてました。