• 泊まって楽しむ昭和資料館 ゲストハウスるーのす

    久しぶりに強く冷え込んだきょうの奈良。
    午前中ちょうど時間が空いたので東大寺へ行ってきました。
    古都奈良に春の訪れを告げる東大寺の「お水取り」。
    それを含む一連の法要が「修二会(しゅにえ)」です。
    3月の「おたいまつ」が有名ですが、それは14日間にわたる本行のごく一部。そして、その準備はもうすでに始まっているんです。

    毎年2月18日は、修二会が厳修される間に使われるお燈明の油を献納する「油はかり」の日です。
    作業に当たるのは200年以上にわたって代々この役目を担ってこられた「百人講」のみなさん。

    準備が整いました。

    これが「油はかり」に使われる道具。
    桶の中に入れられている棒は、油の量を量るための物差しです。
    ここからは見えませんが、5か所に目盛りが刻まれています。

    こちらは道具を収める櫃。平成24年に新調されました。
    「二月堂百人講」の文字は、当時の別当だった筒井寛昭師の文字なんだそうです。
    ちょっとかわいい感じですねw

    奥に並ぶのは燈明油の一斗缶。15年ほど前からこの油が使われています。
    菜種油や綿油、椿油などを調合した特製の燈明油で、すすが出にくいのだそう。
    愛知県岡崎市のメーカーが製造していて、東大寺のほかは伊勢神宮や宮中祭祀などに使われています。「宮内庁御用達」の文字も見えますよ。

    やがて扉が開き、堂童子さんが出てきます。

    例年は百人講の方々が油を量って桶に入れるのですが、今年は新型コロナ感染防止の一環で堂童子さんがおこなうことになりました。これは長い歴史で初めてのこと。
    修二会を勤める練行衆さんたちは全員PCR検査をして陰性を確認したあとは満行まで隔離生活中。なので外部の人との接触を極力避けるためだということです。

    一斗缶から目盛りを見ながら桶に油を注ぎ入れます。
    一斗は約18ℓ。家庭にある灯油ポリタンクとほぼ同じですからかなり重い。持ち上げるのも大変ですね。

    定規できちんと油の量を量って…

    次に専用の油壷に移し替えます。

    これがその油壷。
    二月堂にずっと備え付けられているもので、かなりの年季が入っています。
    油壷は全部で3つ。それぞれ容量が違い、最初のこの油壷は一斗。次いで2つめは一斗二升(約21.6ℓ)、最後は一斗三升(約23.4ℓ)で、そのすべてを満たします。合わせておよそ63ℓ。すごい量ですね。

    奥で立ち会うのは練行衆の一人で堂司(どうつかさ)の尾上徳峰師。
    堂司は、修二会の行の進行をつかさどる役目を担います。

    15分ほどで3つすべての油壷が堂内へ納められ、再び扉が閉じられます。
    今年の「油量り」も無事に終了しました。

    その後、百人講の皆さんで道具を片付けます。

    道具を収めた櫃や養生の敷き紙を持って退出。

    参道石段を下って戻る百人講の皆さん。お疲れさまでした。

    右の4人が今回従事された百人講の方々。
    コロナ下で少ないながらも見物客は多数。
    NHKのテレビカメラも来ていましたよ。

    今年で1270回目の東大寺修二会。
    新型コロナの影響を受けながらも、その準備は着々と進んでいます。