関西に春を呼ぶと言われる東大寺の「修二会」。そのクライマックスの「お水取り」がいよいよひと月先に近づいてきました。
「お水取り」と言えば「おたいまつ」をほとんどの人が思い浮かべるほど有名な籠松明(かごたいまつ)ですが、その軸に使う真竹を寄進する行事が今年も2月11日におこなわれました。
かつて山城地方(いまの京都府京田辺市付近)から東大寺へ住民たちが協力して竹を運び寄進する風習があったのですが、戦後の一時期にいったん途絶えてしまいます。それを地元有志の方々が呼び掛けて作った「山城松明講社」が昭和53年に復活させました。
京田辺市にある普賢寺近くの竹林から当日の早朝に掘り出された根付きの竹がトラックで東大寺まで運ばれてきます。
例年なら京都と奈良の府県境に近い奈良阪町から東大寺まで、旧街道を一般の人も参加してみんなで担いだり大八車に載せたりして運ぶのですが、去年に引き続き今年もコロナの影響で関係者のみで規模を縮小しての実施となりました。
トラックから降ろされた竹は南大門を通って東大寺の境内へ。
その後大仏殿中門前から横を通って二月堂をめざします。
途中には長い石段や登り坂も多くて結構大変。寄進される竹は周囲が約30センチ、長さは約8メートルのものを目安として選ばれているのでかなり大きく、さらに根っこもついているため1本で40kgほどの重さになるそう。みなさまご苦労さまです。
出発して20分ほどで二月堂に到着。もうあと少しです。
その後無事に二月堂下の竹置き場へ納められました。
最後の立てかけ作業はプロの職人さんにおまかせ。
風などで倒れたりすると危険なので、支柱にしっかりとくくりつけます。
東大寺へはこの前後にも各地から寄進されたたくさんの竹が集まってきます。そしてこの中から実際に松明を持つ童子さんに選び抜かれた11本の竹がひと回り大きな籠松明に加工されて12日の夜、二月堂へ上堂することに。もちろんそのほかの竹もそれぞれ松明に加工されますよ。1日から14日まで毎晩10本上堂するので100本以上の竹が必要。松明づくりも大変です。
今年は「竹送り」の復活45年の節目だったんですが、規模縮小でひっそりと終わってしまい残念。50年の記念では盛大にお祝いできるといいですね。
3月1日の本行入りを控え、修二会のさまざまな準備がここから一気に加速します。奈良の春ももうすぐ。