深夜に「お水取り」を控え、今年の修二会も佳境に入った12日、
修二会の行法のうち「達陀(だったん)」に使う松明の材料となる木を奉納する達陀松明調進がおこなわれました。
「達陀」は修二会本行中の12・13・14日の深夜に行われる行法で、二月堂の堂内で達陀松明という専用の特別な松明を使います。この松明の芯に詰めるヒノキの板を納めるのが今回の講社「伊賀一ノ井松明講」で、三重県名張市の人たちです。
この左側の写真が「達陀松明」。後ろから撮っているのでちょっと形が分かりにくいのはお許しを。
右側の写真で芯にたくさん詰められている細い板を奉納しますよ。
以前は多くの市民が参加して徒歩やバスなどで東大寺まで運んでいましたが、2021年以降はコロナの影響で規模を縮小。関係者だけが自動車で運ぶ形となっていました。
今年は4年ぶりに一般参加者を募って鉄道で運ぶという大きな行事になったと聞き、これは元鉄っちゃんの血が騒ぐ(笑)。到着の近鉄奈良駅までさっそく出撃です。
名張市の赤目口駅から直通の特別貸し切り列車が仕立てられました。列車で運ぶのは三十数年ぶりだそう。
ふだんは大阪線を走っている形式の車両が奈良線へ入ってくるということで、どこで聞きつけたのかカメラを持った鉄道ファンがびっしりとホームに待機していましたw
奉納される松明の材料は樹齢80~100年のヒノキ一本を切り出し、そこから長さ一尺二寸(約36.3センチ)、幅約9センチの薄い板に整えて束にしたもの。それを青竹の棒の前後にくくりつけた天秤棒のような「荷(か)」という形にして運びます。
規格も厳密に定められているんですね。
「荷」一つの重さはおよそ35kgにもなるんだとか。
ホームに降ろされた「荷」は乗客と同じようにエスカレーターを上がって改札を出ていきます。
そして駅長さん先導で地上出口へと。
まさにVIP待遇(笑)
いやほんとに重そうですね…
奉納される「荷」はぜんぶで5つ。木札に番号がついています。
雨なので「荷」はビニールで厳重に梱包。
そしてここからは徒歩で。
雨が降りしきるなか二月堂へと運ばれてゆきました。
きょう奉納された材料は一年間乾燥させ、来年の修二会で使われることになります。
すでに来年へとつながっていることがなんかすごい。
こうした皆さんの努力で、修二会は1200年以上途絶えることなく続いてきたんですね。