8月7日、東大寺で大仏さまの「お身拭い(おみぬぐい)」が行われました。
毎年一度、お盆を前に大仏さまに溜まったホコリをきれいにお掃除します。
かつては別当(=東大寺のトップ)の在職中に一度しか行われない
とてもレアな行事だったんだとか。
昭和39年からは今のように毎年この日に行うことになったそうです。
朝7時から大仏さまの魂を抜く「撥遣(はっけん)作法」が行われ、お身拭いの作業は始まっているのですが、一般参拝は7時30分から。
すでに大仏殿前には長蛇の列ができています。
外国の方の姿もちらほら。世界にも広く知られるようになってきたんですね。
大仏殿に入ると堂内はホコリがもうもう。
これはマスク必須ですね。
たくさんの人の手で、かなりお掃除も進んでいる様子。
作業に当たるのは僧侶や関係者など総勢およそ120人。
みなさん白装束に藁草履で作業にあたります。
頭の上にも乗っかってお掃除中。
ちょっと無礼な…と思っちゃうかもですが
先に一時的に魂を抜いてあるので
いまは「仏様」ではありません(笑)
それでも、作業前にはみなさん
二月堂の湯屋(浴場)で身を清めてらっしゃいますよ。
もちろん大仏さまのまわりや
そのほか燭台などの道具類も分担してキレイに拭き上げます。
あら、洗浄剤も使うんですねw
下にはカメラを構える人がいっぱい。
まぁワタシもその一人なんですが(笑)
有名な年中行事なので報道関係の人もたくさん。
白く小さく光ってるのが舞い飛ぶホコリ。
京都西本願寺の「すす払い」のように
大うちわであおいだりはしませんが、
ホコリが外へと出ていきやすいように
堂内の開けられる扉や窓はすべて開かれます。
なのでいつもよりちょっと明るくて風通しがいい。
それでもすごいホコリですけどね。
そしてさらに多くの人たちが大仏さまの下へ集結。
いよいよこれから
「かご」に乗っておこなう
大仏さま本体の清掃が始まります。
天井に取り付けた滑車を通し、
大仏さまの正面と左右に「かご」をセット。
正面の「かご」には「中」、
向かって左側は「西」、右側には「東」の
表示が付けられています。
そして、1人ずつ「かご」に乗り込み、
いったん一番上まで引き上げられます。
大仏さまの高さは約15mあるので
だいたい5階建てのビルに相当する高さ。
見てる以上にかなりコワイと思います。
そしてゆっくりと下へ降りて行きながら清掃開始。
足でうまくバランスを取ったり
身体を固定したりしながら、はたきで丁寧にホコリを払います。
ここが一番の「撮れ高」シーン(笑)。
ニュースや新聞でもおなじみですね。
しかしこれらはすべて人力手作業。
「かご」で作業する人が位置や高さの指示を出すと
手のひらの上の総監督(?)が拡声器で伝達。
下で綱を引っ張って固定している人が
その指示に従って綱を調整…と
なかなか大変な作業ですよ。
胴体まで降りてくると
範囲が広くなってさらに大変。
「かご」で作業する人と
下で綱を持つ人が
うまく息を合わせるのがポイントです。
端へは足も使って移動します。
ここで滑りにくい藁草履が役立ちますね。
裏の方まで念入りに。
でもほんと、
ただ「かご」に座ってるだけです。
これはやっぱりけっこう怖そう…
まさに「高所作業」なので
フルハーネス(=安全帯)が必要な
いわゆる「現場猫」案件かもですが(笑)、
そこは伝統行事。
慣れた人たちによる職人作業ということで。
一方、堂内では
床に落ちたホコリを掃き集める作業も同時進行。
色とりどりのはたきなど、道具もたくさん並んでます。
無事におひざ元まで降りてきて
お掃除は終了。
「かご」も取り外されます。
これが「かご」。
ほんとに人ひとり分の大きさで
ここから両足外に出して
両手にははたき持ってお掃除ですよ。
ちょっと勇気が必要ですね。
作業はだいたい2時間ほど、9時半ごろに終了します。
大仏さまもすっかりキレイな見違えるお姿に。
このあと再び魂を戻す開眼法要が営まれ、
もとの大仏さまに戻ります。
掃き集められたホコリ。
こんなのがバケツ何杯にもなります。
なんかご利益ありそう…
な気持ちが一瞬よぎりましたが
さすがにお持ち帰りはガマン(笑)
天井裏で作業にあたっていた人も降りてこられました。
ふだん使われるのをあまり見ない長くて急な階段や
まったく見ることのない脱出シューターまで!
こんなのあったんだ。
なお、この機会に大仏殿の消防設備点検も同時に行われるんだとか。
脱出シューターもその一環なんですね。
10時過ぎからは外にある放水銃の試験放水もありますよ。
これでお盆、お彼岸とキレイなお姿で迎えられます。
皆さまお疲れさまでした。